“文学少女” と神に臨む作家 下



あらすじ

「書かなくてもいい。ずっと側にいる」――そう告げるななせに救われた心葉。だが、そんな彼を流人の言葉が脅かす。「琴吹さんのこと、壊しちゃうかもしれませんよ」……そんな時、突然、遠子が姿を消した。空っぽの家に残るのは切り裂かれた制服だけ。心葉は遠子を追えるのか? 露わになってゆく真実に、彼が出す答えとは? 遠子の祈り、叶子の憎しみ、流人の絶望――その果てに秘められた物語が今、明らかになる



感想

ぎゃあああ、俺の琴吹さんがくぁwせdrftgyふじこlp
…初っ端から壮絶な鬱展開になるかと思った。



というわけで下巻。
流人くんの本気怖ぇと思いつつもその後のヘタレ具合が凄かったり。
心葉くんは相変わらず流されすぎだったり…。
というか、流人が余計なことしないでちゃんと説明していれば、こんなややこしいことにならなかったんじゃないかと思うのは気のせいでしょうか。



そんなこんなで中盤まで収拾つかないんじゃないかと思っていたわけですが、終わってみればもう見事としか言い様が無いって感じでした。
特に、間幕のモノローグが誰が書いたものだったかとか、遠子先輩のお母さんのこととかが明らかになったときは「やられた」って感じでした。
しかも、今回の推理(想像)役は遠子先輩ではなく心葉というのも今までの成長を感じさせる良い演出じゃないでしょうか。(ヘタレではあるけど



結局は互いが互いを想うが故のすれ違いだったわけで、悲しいことがあったのは事実ですが最終的に誰も憎むことが無い話だったのが非常に救いでしたし、そういうやさしい話が凄く好きでした。
そして、一番最後の遠子先輩からの手紙もまた本当に反則ものですよ。



そんなわけで、本当に良いラストだった。
ただ、惜しむらくは琴吹さんがもうちょっと幸せになったほしかった。


総括

いろいろと去来する想いがあって全てを纏めきれませんが、とにかくこの小説に出会えて良かったと思えました。
本編は終わってしまいましたが、短編集が出るようなのでそちらも楽しみです。

適合度:★★★++